あと あと のあと  2010年 9月

9.30
 日本は列強の植民地とならぬために、西洋のすべてを模倣いたしました。  そうして急激なる
 富国強兵の実を挙げれば、国家は自立できると考えたからであります。 しかし、憲法や議会
 や軍隊や、ありとあらゆる制度を模倣しても、ただひとつだけ真似のできぬものがありました。
 それは
キリスト教です。欧米諸国の国家的基軸には、キリスト教普遍主義がありました。 しか
 るに、陛下は国家
神道の祭主にあらせられます。この大問題を解決するためには、陛下ご自
 身が伝統の日本
神道をお捨てになり、キリスト教徒になられるほかはありませんでした。 考
 えるだに畏れ多い話であります。
 西洋社会は
キリスト教を抜きにしては、何ひとつ成立しえません。  本質的な模倣は不可能と
 なり、日本は列島から軽蔑され続けます。 この問題については侃々諤々(かんかんがくがく)
 たる議論がなされたはずです。 むろん中には、陛下のご改宗やむなしという意見もあったと
 思われます。 日本語を廃してフランス語を国語にせよなどという議論が、まじめに交わされ
 た時代でありました。
 しかし明治の人たちは別の方法を考え出しました。 
神道の祭主たる陛下を、神と規定いたしました。 その大胆な
 設計により、
キリスト教普遍主義と同じ論理を備える、いわば神道普遍主義が成立いたしました。 イエス・キリスト
 を陛下に置きかえるだけで、すべての模倣は本質を伴って実現されます。 しかも、イスラム教のように
キリスト教
 国家と対峙した歴史のない日本
神道は、異端とはみなされません。 わが国がキリスト教に対して寛容であり、む
 しろ教養の一部と考える限り、西洋諸国もわが国家
神道に敬意を払い、ロマンチックな東洋の神秘として受容いた
 します。 明治の御代には、国策としてそのように
キリスト教を扱いました。

       「マンチェリアン・リポート」  浅田次郎     講談社  ¥1,575   から抜粋しました。

9.29  
 テレビの番組改編時期になると、ゴールデンタイムはバラエティ番組で埋め尽くされる。
 今日の夜7時からの番組を拾ってみると、「脱出ゲームDERO!“スッキリ”参戦SP」、「THE
 ス族〜体育会系超おバカ映像100連発」、「ベストハウス123壮絶!ものすごい女4時間半ブ
 チ抜きSP」、「ナニコレ珍百景SP!地上最強!日本全国秋の衝撃風景50連発!」といった具
 合に、どれも見る人の興味をあおり立てている。
 実際にテレビを見ているときは楽しいが、ただそれだけで時は空しく過ぎ去っていくばかり。テレ
 ビの黎明期に、ジャーナリストの大宅壮一氏が唱えた「一億総白痴化」が現実のものとなり、さ
 らにひどさを加速させている。
 ただひとつの救いは、BS(衛星)放送では民放局もまあまあまともな番組を提供してくれているということだけ。

9.28  
 マウスを持たないで出掛けてきてしまったから、パソコンの操作が不便このうえない。
 ブルートゥースワイヤレスレーザーマウスは、1ヶ月前にどこかに置いてきてしまって、可能
 性のあるのは1カ所しかないのに、すぐに問い合わせたその人はないと言っている。 それ
 以前に、その人はマウスがどんなものだか知らないのだろうから、次に行くときまで我慢し
 ようと思い、代替品を使っているところ。
 よく「空気みたいな存在」という言い方をして、普段は気にしてないけれどなくてはならない
 もののことを指しているが、マウスについてもそんな感じだ。

9.27  
 駒ヶ根市内在住の叔母さんに、昨日聞いた話です。
 近所に転居してきた人が、余分なお金がかかるからと、自治組合に加入しないのだそうです。田
 舎でこのような例はほとんどありません。
 例えばゴミ出しをどうするのかと訊いたところ、自分で処理センターまで持って行くと答えたそうで
 す。
 国勢調査の調査員が、全国で苦労しているようです。 個人情報保護法を言い分にして、調査に
 協力しない人がたくさんいるからです。
 自治組合に加入しない人がスーパーに行って野菜を買うとします。 野菜が手に入るのは土を耕し、種を蒔いて育
 てる人たちがいるからです。 魚の場合は、海に網を打って捕らえ、市場まで運んでいく人たちがいるからです。み
 んなどこかの部分で支え合って生きているんだということが、この人たちにはわからないのでしょうか。

9.26  
 今夜は4時から、新日本プロレスの「兵庫・神戸ワールド記念ホール」で
 の試合を、PPS(有料放送)で見た。
 昨夜の地上波で中継された格闘技・DREAMの試合は少しだけ覗いた
 けれど、全然引き込まれなかった。
 昨夜はJCBホールで、イノキゲノムの「アントニオ猪木デビュー50周年
 記念大会」も開催され、夜中に時差放映されたものを見たけれど、何と
 も間延びがした試合ばかりで、途中で見るのをやめてしまった。
 ということは、私が好きなのはプロレスだけれど、それも新日本プロレス
 の試合だけだということなのです。

9.25  
 休日の楽しみのひとつは、ビールを飲んでお昼寝をすること。 ビールといっても、350mLを1本飲むの
 がやっとだが、そのあと横になっていると、うとうとと浅い眠りに入っていく。
 困るのは、目が覚めたあと、全身がだるっこい倦怠感に包まれてしまうこと。 それだけ疲れが取れてい
 るということかもしれない。
 今日は久しぶりにゴルフの練習に行き、夕方は天竜川沿いの堤防をランニングした。 こうやって身体を
 動かしながら、「老い」の進行に抵抗している。

9.24  
 “詐欺”を生業としている、したたかな中年二人組。ある日突然、彼らの生活に一人の少女が
 舞い込んだ。 戸惑う二人。やがて同居人はさらに増え、「他人同士」の奇妙な共同生活が始
 まった。 失くしてしまったものを取り戻すため、そして自らの過去と訣別するため、彼らが企て
 た大計画とは。


 沼津の本屋さんで見つけました。 道尾秀介さんの作品は初めてみましたが、大どん
 でん返しにあまり意味を見いだすことができませんでした。
 何かの本と向き合っていなければならない書中毒は今にはじまったわけではありませ
 ん。 眠りにつく前に文字を追わないとどうにも落ち着かないのですが、かえって目が冴
 えてしまい、今や書がナイトキャップの役目を果たしてはくれません。

9.23  
 ストーブが必要なくらいい。 今日は一日中が降っていたので、お彼岸のお中日
 だったのに、お墓参りは日曜日に行くことにした。
 おじいさんは身体の具合が悪いと言って、お昼ご飯を食べなかった。 きっと、気候の
 変動に身体がついていかれなかったのだろう。 私も身体がだるくて何もする気になら
 ず、一日を漠然と過ごしてしまった。
 明日のは、5時に出発しなければならない予定だったのに、午前中の仕事がなくな
 ったので、遅めに出掛ければよくなったのでうれしい。
 これで、半ズボンを履く機会はなくなったし、ワイシャツも長袖のものにしなければなら
 ないのだろう。

9.22  
 今夜は中秋の名月
 立っているだけで汗が噴き出してくる、真夏のような蒸し暑さの新宿のホームからあずさに乗っ
 て、到着した茅野駅は雨模様。気温は21℃だった。
 栄養ドリンクが売れているという。 猛暑の影響が、今頃になって身体に出ているようだ。かくい
 う私も、今日の午後は身体がだるくて、仕事をしているのが辛かった。
 明日からは最高気温が10℃以上下がり、長袖が必要になるくらい寒くなるそうだ。 そんなわけ
 で、まん丸いお月さんを見ることはできませんでした。

9.21b  
 携帯電話の「星座ランキング」も、めざましテレビの「今日の占い Count Down」も、
 いずれも水瓶座は最下位だった。 これはやばいと思ったけれど、移動も問題なかっ
 たし、仕事も順調だったしで、無事にホテルにたどり着いた。 非常口の位置を確認
 したから、あとは外に出ないことにしよう。

9.21a  
 昨日松本に行ったついでに、スバル・WRXに会ってき
 た。
 先週の「サンデー毎日」に紹介記事が出ていて、2.5
  リッターなのに出力は300馬力もあって、AWDのコン
 パクトなスポーツカーが、私の要求を満たしていたから、
 興味をかきたてられたもの。
 国産のスポーツカーが少なくなったうえ、スタイルも画
 一化される傾向があるのに、この車は野性味にあふれ
 ていて、たいへん魅力的だ。

9.20a  
 家に帰ってきてバックミュージシャンの顔ぶれを見たけれど、いずれもすごい人たちだった。
     Bass 岡田治郎  GUTTER 吉川昌義  DRUMS 則竹浩之  PIANO 瀬田創太
     KEYBOARD ニコラス・ファーマカリディス  CHORUS aika(平原綾香の姉)
 名前は知らなかったけど、経歴を見ていたら、それぞれがただ者でないことがわかった。 だから、コンサートでの
 演奏がひと味違ったんだ。
 そんな彼らに、「まさに音楽の神様に選ばれた人」と賞賛される平原綾香は、やっぱり超一流だ。

9.20a  
 最初の予定は、松本でのコンサートが終わったあと、車で埼玉まで移動する予定だ
 った。それを覚悟でチケットを入手した。(21時現在、中央道の上り線は渋滞30km)
 1ヶ月前に予定を変更してもらったけれど、仕事よりも自分のことを優先してごめんな
 さい。
 アンコールの曲を歌い終わって、ミュージシャンと挨拶をしたあとで、舞台の上は
 原綾香
ひとりだけになった。  
 「松本最高だよ!」と叫んだあと、スタッフや舞台設備やマイクまでお礼の拍手を送っ
 たりして、いかにもお別れしたくないと言わんばかりに、ずっと舞台から去らなかった。
 こんど、ファンクラブの会員になろうかなんて思っている。

9.19  
 今週のNHK−BSハイビジョン・プレミアム8は、「知る楽インタビュー 加藤登
 紀子
 男と女の旅路」だった。
 2002年に亡くなった夫の藤本敏夫さんとの出会いから、妻として母として生
 きた人生を振り返りながら、これからの歌手として生きる道を語った。
 加藤登紀子のコンサートは、夏の日比谷の野音と日劇の「ほろ酔いコンサー
 ト」に、毎年欠かさず出掛けていった時期があった。
 1回だけ、オールナイトのコンサートがあったけれど、私は途中で寝てしまった
 ことを覚えている。

9.18  
 子育てはたいへんな作業で、その上お嫁さんは一家の家事のほとんどの部分を担
 ってくれているので、家にいるときくらいはと、琉くんの面倒をみています。
 体重が8kgを超えたので、長時間抱っこしているのが辛くなっているのに、琉くん
 遊んでもらいたくて、布団の上に横にしておくとじっとしていません。
 せがむような眼を向けて、背中を浮かす動作を見ていると、ついつい負けてしまって
 手を差しのばさずにはいられないのです。
 誰に似たのかわからないけれど、泣きもせず、ぐずりもせず、本当にいい子です。 


9.17  
 政権交代を実現させた、昨年の衆議院選挙で掲げたマニフェストを守るべきだという
 主張があるが、原則論としてはその通りである。
 ただ、野党の立場で、政権奪取をめざして練り上げた政策と、実際に政権を担当して
 みた上での判断とは、異なって当然のことだと思う。
 だから、1年前のマニフェストにいつまでも縛られることなく、現実的で、理想を追求す
 ることよりも実際に実践することができ、結果に結びつく政策を、自信を持って推し進
 めて欲しいことを願いながら、新しい内閣に対しては期待をしている。

9.16  
 昨日の夜も工場に入ったから、今日の仕事は午前中で終わった。 そのあと整体の治療を受け、沼津から自宅に
 帰ってきた。 その経路と時刻は次の通り。
     沼津 14:15(東海道線) → 14:33 富士 14:37(身延線) → 16:04 身延 16:12(身延線)
     → 17:35 甲府 18:34(中央線・あずさ) → 19:30 岡谷 19:33(飯田線) → 20:53 駒ヶ根 
     → (タクシー) 21:15 自宅
 身延線では2時間に1本ある特急と時間が合わず、おまけに甲府までの直通便がなかったために身延で乗り換え
 て、途中で高校生の騒々しい集団の渦の中に巻き込まれる。 甲府ではあずさを1時間近く待って、飯田線は途中
 駅で6分停車なんてことが平気であった。 その結果、移動するのになんと7時間もかかってしまったのです。

9.15  
 民主党代表選挙の菅 : 小沢のポイントは、国会議員が412 : 400、地方議員が
 60 : 40、党員・サポーターが249 : 51だった。 この数字だけを見ると、国民の
 立場にいちばん近い党員・サポーターの意志が、「上」に行くにしたがって反映され
 なくなってしまっているということになる。
 間接民主主義の政治制度なのに、国民の意思が国政
 に通じていないとなると、選挙にどういう意味を持たせ
 ればいいのだろうか。 
 今度の民主党代表選挙は、無記名投票だったけれど
 ほとんどの議員が誰を支持するのかの意思表示をしているので、次の国政選挙での
 選択がし易い。
 菅総理は、代表選挙で「圧勝」したのだから、中途半端な妥協をしないで、小沢さん
 を支持しなかった人を幹事長に据えて欲しいと思っている。

9.14  
 家族の問題は社会の問題でもある。 題名の「下流」が暗示するように、この小説は格差拡大
 社会を背景に設定している。 このままでは中流の「上」から「下流」階層へと転落してしまう。
 由美子の危機感は、孤立無援のなかで、彼女を家族の再生へと立ち向かわせる。 しかし格
 差拡大の苛酷な現実を見据える著者は、由美子に対して容赦しない。
 右肩上がりの経済を前提とする生活様式は保つのがむずかしくなっていた。 訳知り顔の夫は
 いざという時に頼りにならない。 「婚活」に励む上昇志向の長女には、不幸が待ち受けていた
 …。


 この小説を読み始めた当初は、気分がだんだん暗くなってきてやるせなかった。 中盤から、沖
 縄出身の娘・珠緒が大学に医学部に入るために頑張りだして、それを応援したくなって読み続
 けるのだが、この小説の内容が現代の世相を反映しているかと思うと、読後感としてはなんとも
              すっきりしない。

9.13  
 この暑さを、細胞レベルで感受して生きている動植物たちを見よ。 木々は蒸散を防
 ぐために葉を落とし、ニワトリは卵を産むのをやめ、魚や昆虫など、移動できる生きも
 のは北上を続ける。
 ひるがえって人間は、その達者な口で「暑い、暑い」とは言うが、その実自身の体温
 の上昇にも気づかずに熱中症になって倒れるだけである。 それほど退化した生物
 である人間が、ナノテクだのクラウドだの。 あたかも人間の脳だけは退化を免れて
 永遠に進歩し続けるかのような反自然の幻想を増殖させながら、私たちは今日も文
 明を拡張し続けるのである。
 温室効果ガスの影響であれ何であれ、地球規模の異常気象は現に起きている以上、
 本能を著しく退化させた人間がこのまま文明の力で繁栄を続けられる確立は、それほど高くないことだろう。

              「平成雑記帳」   高村薫    AERA  2010.9.20日号 よりの抜粋です。 

9.12  
 家のまわりで稲刈りが始まった。 このあいだ田植えをしたばかりなのにと思うのは、稲作
 を他人にお願いしている立場だから言えることで、この4ヶ月間、実際に田んぼを管理して
 いる人たちは、いろいろとご苦労があったことと思う。
 最近は、を全部コンバインで刈り取るのではなく、自家米に充てる分を、ハザにかけて自
 然乾燥する農家が多い。 それの方が、自分のうちの田んぼで採れた、美味しいお米を食
 べることができるからだ。
 どうやら、今年は豊作のようだ。

9.11  
 お客さんふたりと西駒ヶ岳に登った。 前もってインターネットで調べた混雑状況は、
 シーズンの谷間のため人出は少ないとのことだったが、ロープウェイの駅から山頂に
 通じる道は人がつながっていて、思うように進めない状態だった。
 下界は35℃だというのに山頂は肌寒くて、サマーセーターを羽織ってもまだ足りない
 くらいの気温。 朝なんか、12℃くらいに冷え込んでいるという。
 今の時期は、高山植物はほとんど咲き終わっており、あとは紅葉を待つだけというタ
 イミング。 絶好の晴天に恵まれて、お客さんは満足してくれた様子だ。
                                                  遠くに富士山が望めました。

9.10  
 入間の工場での仕事が終わったあと、その会社のメンバーふたりと
 長野の自宅に移動し、私の家族と一緒に、頼んであったソースカツ丼
 を食べながら、交流をした。
 夕食後は、波動スピーカーの試聴会。 いろいろなジャンルの曲を聴
 いたり、DVDの画像を見たりしたけれど、こんな小さなスピーカーか
 ら、何でこんな音が出るのだろうと、ふたりとも驚かれていた。
 私は、今までこうやって本格的に音楽を聴く機会がなかったから、試
 聴に耐えられる音楽ソースを余り持ち合わせていないことに、今日改
 めて気付かされた。 これから、ジャズを中心とした良質な音源を手に
 入れていく必要があることを、感じさせられたひとときでした。

9.9  
 「快適にお過ごしいただくために、タブレットを入れ、エアコンを作動させています。 抜かずにご利
 用ください」と表示されて、あらかじめ部屋を冷やしてあるホテル。
 ついこの間まではたいへんありがたかったけれど、今夜は陽気が涼しいから、いったん冷えてしま
 った部屋は、エアコンを切ってもこんどはなかなか暖まらない。
 温度が少し上下しただけで文句をつけている、なんて人間という動物は贅沢なのだろう。半袖のワ
 イシャツだけで出張できるのは、今週が最後になりそうだ。

9.8  
 インプラントを土台にして、その上に樹脂でできた歯が形成されている。 まわりの歯と合うようにと、色も調整した
 のにそれが欠けてしまった。 歯科医の先生は、奥歯だから金属製の方が長持ちをするとおっしゃるから、そうする
 ことにした。
 歯肉との当たりを考えて、次に入れる歯をどういうかたちにしようかと、私の背後で院長とラボ(技工士)とが真剣に
 議論をしている。 「妥協をしないんですね」と私が褒めると、「ひとりの判断だとどうしても逃げたくなってしまうから」
 と、ラボの先生はおっしゃった。
 インプラントは料金が高いと思われがちだが、こうやってあとあとしっかりメンテナンスしてくれるのだから、トータル
 的に考えたら決して高くはない。

9.7  
 猛暑が続いているというのに、インターネットを使って、年末までのホテルの予約作業をしている。
 今年のクリスマスイヴはどこにいるのかな、なんてことを考えながら……。
 昨日は地元で午前中だけ仕事をして、今日は一日中自宅にいた。 草刈りが一段落したりして、追わ
 れることがなくなったので、比較的穏やかな心境で、窓の外が黄昏れていくのをながめている。
 もし長女が自宅にいたとしたなら、「仕事をさぼっているんけ?」 なんて言われるのだろうか。          
                                       この犬は、プログラムを開くと、6回だけ動作します。

9.6  
 いま進行中の民主党代表選挙は、小沢一郎の復権を問う権力闘争である。 小沢の応援団はこう問いかけてい
 る。 「クリーンで非力な
首相と灰色でも剛腕の首相とでは、どちらがマシだろうか」まさかの出馬表明から10日た
 ち、剛腕待望論がジワジワと広がっている局面だ。 
 天下にケジメを示した幹事長が、アッという間に
首相候補に返り咲く不思議。 頼りない菅と疑問だらけの小沢しか
 選択肢がない不毛。 経験不足の新米議員たちが決定権を握っている不安。 論戦を素直に聞けない理由がいく
 つもある。

               「風知草」   山田孝男       毎日新聞 2010.9.6号から抜粋しました。

9.5  
 朝の 5時、ガラガラと車庫のシャッターが開く音がする。 次女が出勤していくのだ。
 飯田の学校に進学した次女は、その地区に就職したから、家から通うのに片道1時間近くをつ
 いやしている。
 その上変則勤務だから、早番の日などこんなにも早い時間に家を出て行くことになる。 冬なん
 か雪が降って道路事情が悪いこともあるから、親としては心配をしきれない。
 仕事が終わって5時頃帰ってきたと思ったら、少し家にいただけでどこかに出掛けていった。こん
 な具合に、マイペースを貫いている次女なのです。

9.4  
 正確に測定したわけではないけれど、自宅付近の日中の気温は37℃くらいあったのではないかと思う。
 居間にじっとしているだけで、体中から汗が噴き出してきた。 午後4時ころ用事があって出掛けるとき、
 車が示す外気温はなんと35℃もあった。
 息きをするのも苦しいくらいの酷暑。 比較すること自体無理があるけれど、風邪ひとつない屋外にたた
 ずんでいるときの気分は、手術のあとの全身麻酔が切れて覚醒するときの、混乱している意識に似てい
 る。
 自分の意識の置き場所がなくて、どうしようもないもだえのまっただ中にいる、麻酔による仮死状態のあと
 の、そんな状態を少しはわかってもらえるだろうか。

9.3  
 郵便局からの連絡は、おじいさんが入っている生命保険の受取人がおばあさんになっ
 ているけれど、もう生存していないため、相続の手続きが必要になっているとのこと。
 そんなに大きな金額ではないけれど、積み立てるときはたいへんだったと思う。
 おばあさんが嫁ってくる前から今までの戸籍謄本を取って、書類に関係者の実印を押
 してもらい、印鑑証明まで添付しなければならないという。
 手続きが面倒くさいから、国庫に納める方法が取れないかとおじいさんも言っているけ
 れど、今このことが問題になっていて、受け取ってもらわないと郵便局でも困るらしい。
 このような内容をはじめとした財産の相続については、今あちこちでいろいろなトラブル
 が発生しているようだ。

9.2  
 石川鷹彦のアコースティックギターが波動スピーカーによく合う。 そこで、今までの
 アルバムを全部手に入れようとした。 ところが、「WORDS 3rd」や「WORDS 3.5
 」は、Amazonでは新品なのに7,000円くらいしている。 そこで、彼のオフシャルサ
 イトを通じて定価で購入した。
 一人で聴くのはもったいないので、共感してくれる友達と一緒に聴こうと声をかけて
 待っている。 だから、まだ封を切ってない。

9.1  
 もういつのことだったのか忘れてしまったけれど、新宿の厚生年金会館で行われた吉田拓郎のコンサートで、最前
 列のセンターの席に座れるという、奇跡みたいな出来事があった。
 その頃はまだアコースティックなコンサートで、歌い終わった拓郎が、それまで吹いていたハーモニカを、座席に向
 かって投げ入れた。 そして私の隣の席の人が、そのハーモニカを拾った。
 その時のコンサートでいちばん印象に残っている曲がこの「マラソン」。 ギターも手にせずに、マイクの前に直立し
 て歌っていたことだけは、今でも覚えている。