あと あと のあと 2006年8月


       「喪に服す」

       死亡した人を追悼する礼。
       人の死後、その親族が一定期間、世を避けて家に籠もり、身を慎むこと。

                                             〜広辞苑〜
  
8.31
 「週刊朝日 2006.9.8号」
 
 田原総一朗が連載している「ギロン堂」、今週のテーマは「沈黙はテロに対する敗北である」というもの。
 加藤紘一衆議院議員の自宅が放火されたことを契機にして、身の危険を感じた論客たちが口を閉ざしていること
 と、マスメディアがテロ男の名前も所属団体の名前を伏せたままであることを批判している。
 ここまでなら誰でも評論できることであるが、なんとその文末には「男の名前は○○○○、新宿・歌舞伎町に事務
 所を置く××××××の幹部で……」と、実名を上げているのだ。

 私はこれを読んでいて身震いがした。田原総一朗はすごい。

8.30
 来月出版予定の本の「再校ゲラ」が宅配便で届いた。
 B4の用紙に印刷されたものは、ほとんど出版される本の体裁になっている。
 納期は9月7日、ここでミスを逃すともう修正できる工程はないから、あと1週間ひと踏ん張りしなければならない。
 そうは言っても、やっとゴールが見えてきたので、作業に取り組むプレッシャーの質は、今までよりもちょっと希望
 伴ったものになっている。

8.29  
 仕事が終わったのが午前の2時。
 そして家に着いたのは方の4時近くになっていた。
 娘たちが冷やしておいてくれた缶ビールを飲んで眠りについたけれど、はいつもの時間に目が
 覚めてしまう。
 日曜日にお墓に供えた生花が気になったので見に行ったところ、水気がすっかりなくなってしまっ
 ていてぐったりしていたいたので、大きな容器に水をいっぱい張ってそちらに移した。
 本当は昨日やればよかったことだけれど、もう一度しゃんとしてくれるだろうか?

8.28  
 昨夜は、親戚の人たちが帰ったあと、八王子に移動した。
 中央道は小仏トンネルのあたりが25kmの渋滞で、その渋滞を抜けるのに3時間以上かかるという道路情報だった
 ので、大月ICで高速を降りて八王子に向かった。
 ホテルの部屋で食事をするようにコンビニで弁当を買いたかったのだけれど、八王子の市内のコンビニには駐車場
 がなく、路上駐車ができる状態ではなかったので、しばらくあちこちをうろうろしたけれど買えずじまい。
 ホテルはホテルで駐車場が満杯で、インターネットの接続はフロントでターミナルを借りなければならなくて、おまけ
 にトイレにはウォッシュレットがついていなくってといった具合に、とにかくイライラのしどおしだ。

8.27  
 おばあさんの四十九日の法要と、納骨が執り行われた。
 これでやっと喪が解けるわけであるが、自分のことよりも他人のことばかり心配していたおばあさんに、こんなことを
 したら心配するだろうなと思われることをしないことが、私たちのつとめであり、まわりとの和を保っていくことにつな
 がっていくのだと思う。
 喪が解けたと言っても別に行動の質が変わるわけではないけれど、ちょっとだけ遊ぶこともこれからは取り入れてい
 くのです。

8.26  
 遠くに行っている弟たちとは、今まで2年に1回くらいしか会えなかったけれど、おばあさんが引き合わせて
 くれたので、今夜もビールを飲んで交流することができました。
 家のまわりをきれいにしておばあさんを送り出してやりたいと、おじいさんが庭屋さんに樹木の剪定を頼ん
 で見違えるようになりました。
 2ヶ月近くも座敷で微笑んでいたおばあさんの写真も明日には外され、わたしたちにも通常の生活が戻ってきます。

8.25  
 昼間ひとつの会社におじゃましたあと、夜は別の会社の役員の方々と打ち合わせをする。
 土曜日はもう仕事を入れないと言いながらも、すでに明日はふたつも仕事が入っている。
 もっとゆっくりと歩きたいなんて言っておきながら、やっていることは正反対で、「疲れた!」などという言葉が口癖に
 なってしまっている。
 どこかで生活パターンを転換させなければならないと思っているけれど、それができなくて困っている。

8.24  
 5年間もお世話になった日置電機さんの、最後になる指導日だった。
 改善のお手伝いをしてきた製造部は、新設された新しい工場に移転して、今までとは違った雰囲気の中で躍動
 ているのが感じられた。
 夜は会食の場を設定してくれていて、20数名集まったみんなが一言ずつメッセージを寄せてくれるものだから、な
 んだかジーンとしてしまった。 こうやって考えると、私はずいぶん幸せな仕事をさせてもらっているね。
 みんなは別れを惜しんでくれたけれど、こうやって区切りがあるから、それぞれがまた新しいステージへと進んでい
 くことができるのだと思います。
 長い間、ありがとうございました。みなさんからいただいた暖かいお言葉を財産にして、私もまた新しい道を切り拓
 いていきます。

8.23  
 36℃という灼熱の大阪から長野に移動してきたところ、夜ということもあるのだろうけれど気温は
 22℃という低さだった。
 夜も11時頃になると、外気はひんやりとしていて、肌に心地いいのを通りすぎで半袖では寒いく
 らいだ。
 残暑も来週になると落ち着くという天気予報。
 あまり暑いのもいやだけれど、これから寒くなっていくのが見えてくると、なんだか気持ちが寂しく
 なってしまう。

8.22  
 水虫は何で痒いのだろうか。
 夏になるといつも決まって顔を出す水虫は、症状として痛くはなくて痒いというのが不思議だ。
 水虫薬「スコルバ」を吹き付けて退治しようとするのだが、あの痒さが少しだけ心地よいために、どうしても手ごころ
 を加えてしまうのだ。
 もしかしたら、あの微妙な痒さは、水虫の生き残り戦略なのかもしれない。

8.21  
 「個人事業税」の納入通知書に、「『県民応援減税』のお知らせ」というチラシが入ってきた。
 その内容は「環境に配慮した取り組み」というもので、資本金1千万円以下の中小法人または個人で、県内すべて
 の事務所、事業所について「ISO14001」または「エコアクション21」認証を受けた事業者に対して、税額の1/2
 (10万円を限度)が減税されるというものだった。
 地域では、ゴミの分別をはじめとした環境に対する意識がかなり高まっているのに対して、企業サイドの取り組み
 が遅れているきらいにあるから、この減税が少しは後押しをしてくれるかもしれないけれど、10万円の減税では、取
 得費用の足しにはあまりならない(のかな?)。

8.20  
 稲の穂に咲いた花を撮影しようと思っていたのに、またたく間に穂が出てしまい、いまは垂れ下がるまでに
 なってしまっている。
 これで黄色く色づいてくれば、もう稲刈りができそうな気配だ。
 毎日暑い日が続いているけれど、季節は確実にの準備をしている。

8.19  
 ほぼ4ヶ月ぶりくらいにゴルフ練習場に行った。
 体がひねられるのを怖がっていて、なんだかタイミングが合わない。
 4ヶ月もボールを打ってないのだし、ゴルフ用に補強された筋肉は全部なくなってしまっているのだから、無理もない
 ことだ。
 昨日はフィットネスクラブに行って走ってみたから、ほどよい疲れで夜はよく眠れた。
 これでやっと普通の生活に戻ったようだ。そして、あと1週間で喪があける。

8.18  
 ある夜、年配者数人と若者数人のグループが路上ですれ違った。次の瞬間、突然、大きな音が周囲に響いた。
 者
グループの一人が酔って、路上にあった道路工事用の三角柱を蹴っている。
 通り過ぎかけた
年配者グループの一人が立ち止まり、若者たちに「何やってるんだ」と、大声で叫んだ。振り返る
 者
たち。仁王立ちの年配者。一瞬両グループの間には、殺気だった空気が走った。年配者は「公共物を壊すな。そ
 んなやつに酒を飲む資格はないぞ」とたたみかけた。
 
若者たちは向かい合った時、見知らぬおやじが何を言っているんだという表情だった。しかし、すぐにその中の一人
 が進み出た。「すみません。よく言っておきますので許してください」と、丁寧に腰を折って謝った。
 この
年配者は70歳を越えている。最近こういう街のおやじが少なくなった。無理もない。正しいことをしても逆切れ
 される時代だ。「義を見てせざるは勇なきなり」と言うが、身の危険を考えれば、見て見ぬふりをする方が賢明だ。
 それでも
年配者は体を張って若者たちに私と公の違いを教えた。 
 素直に頭を下げた
若者の謝り方も立派だった。周囲に恐い顔のおやじたちがいたからではないだろう。酔った仲間
 の非を認め、諭すという言葉には友情がある。注意してくれた
年配者への敬意もある。公私の区別が薄れ、自己中
 心的傾向が強い風潮の中にも、本物の勇気と謙虚はあった。


                 『長野日報』     2006年 8月18日   「八面鏡」    小松 茂 

8.17  
 私のささやかな気分転換はパチンコをすること。
 午前中は次女とふたりで出かけ、午後は単独で箕輪まで遠征した。
 挑戦したのは「CR・ジョーズ」。1000回転を超えていた台に座って、150回転くらい回した
 ところで確変ゲット。
 なんとそれから怒濤の24連チャン。4時間ものあいだ延々と出っぱなしだった。
 改めて私のパワーと引きの強さを再認識した次第です。
8.16  
 校正を終えた初校ゲラを宅配便で送った。
 これで、4月あたりから私に重くのしかかっていた作業から、やっと解き放たれたことになる。
 言い訳はいくらでもできたし、まわりはそれを認めてくれただろうけれど、何があっても納期だけは守りたかったか
 ら、それが私の基本的な価値観の部分だから、終わってほっとしているというのが正直な気持ちだ。
 新盆で疲れたこともあるし、今週いっぱいくらいは、何も考えないでらっくりしよう。

8.15  
 小泉首相の靖国神社参拝は、自分のポリシーを貫くという意味では立派な行動だ。
 彼にはこのようにしがらみになるものが全然なかったら、自民党をぶっ壊すこともできたし、行政改革もで
 きたのだと思う。
 記者会見で主張した3項目についても、ちゃんと説得力を持たせているのは、彼の特異なキャラクターか
 らきている。
 それにしても、日本では過去になかったような、ユニークな指導者だった。
 だからこそ、たくさんの団体の指示を得て、それぞれから後押しをしてもらった村井知事の行く末が心配になるのだ。

8.14  
 13〜14日の2日間で、延べ100人の来客があった。
 お返しものの数が足らなくなって、急遽追加注文をしたくらいだ。
 新盆がいちばん大変だよと言われていたけれど、ひっきりなしの対応に疲れ切って、昼間少し寝込んでしまった。
 明日はそんなに来客はないと思うけれど、浮き世の義理というのは大変なことだ。

8.13  
 おばあさんが夢の中に出てきた。
 すぐ消えてしまいそうな気がして、「おばあさん、おばあさん!」と呼んだら、おだやかないい顔をしてにっこりと微笑
 んでくれた。
 亡くなる前に、「もう思い残すことはないし心配なことも何もない。幸せだった」と言ったように、おばあさんは本当に
 幸せそうな顔をしていたから、いつまでも悲しんでばかりいてはだめなんだとそのとき思った。
 目が覚めてから気が付いたけれど、お盆だから私の心の中に帰ってきたんだね。

8.12  
 新盆の用意が整った。
 祭壇は、お葬式の時よりもひと回り大きなものにし、ご先祖の位牌もそこに加えて並
 べた。
 明日からの3日間、大勢の来客を受け入れるのです。
8.11  
 昨日と今日の2日間は、朝早くから夜遅くまで、ほとんど缶詰状態で原稿の校正に取り組んだ。
 校正と言っても、まだ誤字や脱字を見つけるレベルにはなく、書き殴った原稿を並べただけのものを、構成し直して
 文の量が足らないところはそれを埋めなければならない。
 新盆になるとやっている時間が取れないから、何とか目鼻をつけなければならなかったが、どうやらもう少しのとこ
 ろまでこぎつけた。
 あとは、依頼してあるイラストが届くのを待っている。

8.10  
 長野県の伊那谷では、熾烈なパチンコ戦争が繰り広げられている。
 ここにきて、伊那市に2店、駒ヶ根市に2店、それぞれ大型店が進出してきた。
 伊那市の人口は約7万人、駒ヶ根市に至っては約3万5千人程度の基礎人口しかない土地に、4店も開店したの
 では、パチンコ店が共倒れになってしまうことは必至の状態だ。
 今日あたりから開店がはじまるようで、新聞の折り込み広告は華々しいけれど、いくら考えても行くことができない
 現状だから、いつもと違って焦りもなく平常心を保っている。

8.9  
 座敷のを貼り替えたよ。
 自宅を新築して20年近くも貼り替えてなかったから、表面はぼろぼろになってしまっている。
 何かきっかけがないとなかなか実行することができないけれど、新盆に来客がたくさん訪れるこ
 とから踏ん切りが付いたもの。
 明日は葬儀屋さんから飾り物の納品があり、着々と新盆の準備は進んでいるのです。
8.8  
 ホテルの部屋で眠るときは、風邪を引いてはいけないからと、いつも冷房を切ることにしている。
 寝冷えをしないようにと、パジャマまで持参しているのだから、冷房を入れて寝てもいいんじゃないかと、悪魔のさ
 さやく声がする。
 だけど、今体調をくずしたら命取りにもなりかねないからと、我慢をして冷房を切った。
 しかし、こうも暑いとなかなか寝付かれないわ。

8.7  
 が亡くなってちょうど1ヶ月が経った。
 不思議なのは、この間1回もの夢を見なかったこと。
 悲しみを忘れることなどひとときもなかったけれど、夢の中には姿を表さないのはなぜだろう。
 楽しい夢はほとんどなくて、どちらかと言えば苦しい夢の方が多いけど、が登場しないから、まだ救われているの
 かもしれない。

8.6  
 広島市の秋葉忠利市長は平和宣言の中で、同市が中心となり、世界1403都市が加盟する「平和市長会議」から、
 都市を核攻撃の目標としないよう核保有国に求める運動を展開すると表明した。
 だけど、これはおかしなことだ。
 核攻撃の目標が、都市ではなくて、私が住んでいるような「田舎」だったらいいということなのか?
 1985年に私がソ連を訪問したときの平和集会で、「ウラジオストクにあるSSー20(中距離弾道ミサイル)は、日本
 を狙っているのではなく日本の中にある米軍基地を狙っているのだ」という発言がソ連側からあり、一時会場が騒然
 となった経緯がある。
 この観念的な主張とあまり違ってはいないと思うけれど、違っているのだろうか?

8.5  
 単行本の初校ゲラが届いた。
 思ったよりもページがのしていて、少し削る作業も発生しそうだ。
 校正の納期は8月17日。この間には新盆があって、スケジュール帳を見たけれど、作業をする
 日があまりないのだ。
 一段落したと思ったら、また地獄の日々が続きそうだ。
 遊ぶことはとうにあきらめているけれど、ゴルフの練習再開もずっと先のことになりそうだ。

8.4  
 八王子の会社での仕事が終わったのが夜中の12時半。
 自宅に通じる中央道は、渋滞にはなっていないものの、普段よりかなりの量が多い。昨日立ち寄った関越道の
 サービスエリアもでいっぱいだった。
 子供たちが休みになったから、みんなレジャーに出掛けるようだ。早くを捕まえないと、すぐに秋に変わってし
 まうからね。

8.3  
 亀田興毅の世界王座決定戦の判定には驚いた。
 あれが勝ちだとするなら、ジャッジの方法が間違えているとしか思えない。
 私がプロレスファンだということがわかると、「プロレスはショーじゃないですか」と冷
 ややかな目を向ける人がいるが、ボクシングのいったいどの部分が「スポーツ」だと
 言うんだろうか?
 こんなことを繰り返していると、ボクシングが世の中から認められなくなってしまうし、
 だいたい19歳の少年に対していい影響を与えない。
8.2  
 たぶん血圧が低いのだと思うけれど、朝、目が覚めたときの倦怠感がひどくて、なかなか行動に移ることができない。
 1ヶ月ごとの定期通院の結果は、どこも異常がなくて順調な回復ぶりだったけれど、手術前に比べるとどこかが違
 っているのです。
 王監督が退院したけれど、11月までは社会復帰することが無理だと言われているように、私の場合も、完全に元
 に戻るのには、もうしばらく時間がかかるのかもしれない。

8.1  
 ずっと集中した状態が続いていたから、ことさら時の流れが速くて、精神的にも落ち着かないのです。
 どこかで大々的な気分転換をやりたくて、そんなことを考えると尻がムズムズしてきて仕方がないけれど、27日の
 四十九日の法要までは大人しくしています。
 おばあさんの納骨が終わっていないから、魂は自宅の座敷にまだいて、私を見ているのです。