自主規制



          定額回答に怒りをこめ
          便所の中から天井にまで
          べったりステッカーを貼った
          去年の72春闘

          朝になると
          部長や課長が
          踏み台やはしごを持ち出して
          片っ端からはいで歩いた

          倒産して
          更生法が適用され
          動揺の中で闘われた
          夏期一時金闘争

          青年婦人部の
          ステッカー貼りに対して
          組合からの規制が
          表面化しはじめた

          組合三役と交渉して
          内容や枚数を制限され
          夜遅くに貼ったステッカーが
          朝来て見ると1枚もなかった

          夜中に
          総務部長から電話があり
          組合員である警務員が
          眠らないではいだという

          そして秋年闘争・73春闘
          管財人は法律に詳しく
          労働協約もあるてまえ
          ひかえて欲しいという組合

          青年婦人部は
          工場内に貼れないで
          風が吹けば取れてしまう石垣に
          ステッカーを貼り付ける

          夏期一時金闘争は
          会社ペースの組織固めと
          闘うポーズすら見せない闘争委員会と
          地域の最下位を独走する定額回答

          職場でくすぶる不満と
          呼び水をそそげば
          よみがえるはずの労働者意識の中で
          またも倒された36協定拒否

          工場内のあちこちに
          生命より電線が大事であり
          品質や納期がすべてだと
          貼りめぐらされた会社のステッカー

          闘いの中で勝ち取った
          ステッカー貼りに対する
          いくつかの判例を
          知ってはいるのだが・・・・・

          職場に
          組合の掲示板を
          要求することなんか
          まったく別のことなのだ

          団交がある日の朝
          俺たちの力を示し
          不満や怒りを資本にぶつけるために
          職場をステッカーで埋めたいのだ

          用意された
          青年行動隊のステッカーは
          書記局のロッカーの中で
          眠っている

          ステッカーを貼れないことが
          いや 貼ろうとしないことが
          すべての闘いに対する
          いちばん大きな問題になろうとしている