海 よ



          海よ
          おまえの腕がいま
          俺に向かってのびてくる
          海よ
          おまえの声がいま
          俺の耳にかぶさってくる

          青くて
          深くて 広くて
          偉大すぎるのだ
          小さな人間は
          おまえを見ていると
          なぜか考えされられるのだ

          落ち着いているがいい
          そうやって
          静かに波を立てているがいい

          ふと
          海の中に
          吸い込まれそうになる

              〜青函連絡船上にて〜