プロポーズ



          結婚して欲しいと言ったら
          君はうつむいちゃって
          ハンドバックの中から
          白いハンカチを取り出し
          そっと目を押さえた
          さっきまで
          口をとがらせて
          「好きな人がいたらお付き合いしていいのよ」
          なんて開き直っていたのに

          あなたといっしょに歩きたいって言ったら
          君はそわそわと
          チェックのスカートの端を
          折り曲げたり伸ばしたりして
          「反対のことを言われると思った」とか
          「愛してなんかいない」とか
          「私にはもったいない」とか
          まとまりのない言葉を
          自分を納得させるように
          小声でつぶやいた

          またたく間に時間が過ぎて
          駐車場が9時までだからと
          喫茶店を出ました
          来るときとはちがって
          君の足取りがはずんでいたり
          歩きながら話しかける声が
          いつになく輝いていると思うのは
          ボクの気のせいかな?