キスマーク



          あなたは
          キスマークのついたからだを
          私の前に開いた
          私がそれを発見すると
          「あなたは
           女がわかっていないのよ」
          と言った

          「私はのめりこめないから・・・・・
           ・・・・・のめりこまれても困るでしょ?」
          そんなあなたの言葉を
          私は今でもかみしめている

          それぞれにちがった人生があって
          その一部の接触だけでも
          ひとつになってしまえる男と女
          夜が明ければ
          またちがった道を歩いている

          「女は信じられない・・・・・」と
          私はいつも言っている
          でも
          精一杯信じようとしている
          はねつける前に
          受け入れようとしている

          自分のいいかげんさを
          許容したくない私は
          あなたを含めた他人のいいかげんさを
          どうしても許せない
          怖い人だって言われても
          これが私の生き様なんだから

                         (1980.9.21)