悔 恨   



          去年の落ち葉が
          完全に腐れ切らないうちに
          花びらは
          あたりに甘い香りをふりまいて
          ゆっくりと降りていく

          そよ風が
          頬をなでて通っても
          少しもさわやかさを覚えず
          いつまでも
          落ち葉の下から
          なにかを探そうとしている僕

          やわらかい日差しを浴びて
          揺れ動く緑の葉がまばゆくて
          目を地面に落とす
          色あせた葉脈のあいだから
          萌黄色の芽が
          顔を出している

          そんなに簡単に
          秋はやって来ない
          太陽の光は
          日ごとにその強さを増す

                           (1969.5.12)