千葉にて



          国道16号線沿いの
          四畳半の学生アパートは
          屋外の冷気が直接伝わってくる
          ストーブがないから
          布団にくるまり
          こたつに膝を突っ込んで
          本を読んでる

          収入がないので
          朝は10時頃パンを食べ 牛乳を飲み
          夕食は早めに 外に出て食べる
          それも 一食500円以内で
          なるべく量の多いものを選ぶ
          1日2食というのが
          すっかり定着してしまった

          野田のアパートから
          松戸の事務所までは30km
          道がすいているときで40分
          ラッシュ時にぶつかると1時間はかかる
          ガソリンの減っていくのが気になって
          少し加速がつくとクラッチを切り
          次の信号まで惰性で走らせる

          師走の街はにぎやかだ
          店頭には物があふれ
          ジングルベルが道行く人を誘い
          子供たちははしゃいでいる

          「やっぱり 道を間違えたのかな」
          と思いながら
          少したって それを打ち消す
          あのままの状態でいたって
          決して満足なんかできなかったのだ と
          自分に言い聞かせる

          「働かなければ」食っていけない現実を
          しっかり自分の中に叩き込んで
          どんどん襲ってくる
          淋しさや空しさやみじめさに打ち勝つだけの
          強さを 今持たなければ
          何のための行動だったのか
          よけいにわからなくなりそうだ

                           (1980.12.23)