病床にて



          秋が来て
          枯葉が散った
          ・・・去年と同じだ
          そして
          また春が来る

          あいつ
          また人の心をかきまわしていった
          みだれるのは
          まだ固まっていないから
          あいつの話を聞いていると
          この世の中は
          男と女がすべてみたいじゃないか
          男と女が・・・・・

          ひとつのことを決めるのに
          あれこれ迷って
          はっきりできないまま押し流されて
          そうだ
          去年も同じだった

          去年と違うのはちょっぴリ大人になって
          純粋さがなおなくなって
          かけがえのない友を得て
          それから
          自分の歩く道がやっとみつかった
          泥沼だけど
          自信をもって歩ける道が
          外からの押し付けでなく
          自分の中から決まった
          それをさまたげるのは
          自分の弱い面だけ

          暖房のきいた
          この病棟の中で
          今夜も
          赤ちゃんが生まれたらしい
          しっかり生きるんだよ
          外は寒いからね

                     (1970.11.4)