あつしくんへ



          あんまり闘う姿勢をみせると
          弾圧されるじゃないかって
          日共の票取り屋さんが
          このあいだ言ったね
          あつしくんは
          おとうさんの膝で聞いていた

          権力は
          余力を残しているよ
          運動や闘いをつぶせるだけの
          エネルギーをたくわえているよ
          その気にさえなれば
          わけないことだと思うよ
          そして その日が
          あしたにも来そうなんだ

          反ファッショなどという運動は
          真っ先に攻撃されるよ
          昔の「特高」みたいなものができて
          有無を言わせず引っ張っていかれる
          それでも おとうさんは
          絶対とも言い切れないけれど
          きっと「転向」できないから
          殺されるかもしれない

          今でも 覚悟はしているんだ
          だけど それを望んでなんかいないさ
          あつしくんといっしょに
          もっとたくさん生きたいもの
          あつしくんの成長を
          この体で受け止めたいもの
          だからこそ
          闘いを休めないんだ
          妥協せずに生きることが
          おとうさんの闘いだ

          きょうは
          柿の木にブランコを作った
          あの縄が切れるのは
          あつしくんがいっぱい遊んで
          磨り減った結果であって欲しい

                      (1979.4.28)