急ブレーキをかけると
前につんのめっておでこを打つから
ちゃんと座っていろと言うのに
立ち上がって外の景色を見たいあつし
大人は座っていても外が見渡せるのに
あつしには見えないんだ・・・
なぜなら車がそのようにできているものだから
手を引いて歩くと
お父さんの歩調に合わせようと
駆け足してついてくるあつし
息をはずませて
ときにはけつまづいて
それでも手を引かれているから転べなくて・・・
あつしは足が短いから
速く歩くのは大変なんだよね
身長89センチのあつしは
大人より気温が1度低い空気を吸っている
あつしの目に映る世界は
多くのものが見上げるかたちだから
きっと 大人とはちがうんだ
お父さんが見るものや
体で感じることなんかを
あつしに押しつけはしないから
あつしは
自分の判断で
どんどん動き回るのだよ
(1978.12.16)