車が高遠城址に近づき、桜の様子がわかるようになったときに感じたのは、なんだか花の色が「どす黒い」
   ではないかということだった。
   そして敷地内に足を踏み入れたところ、その理由がわかった。桜はすでに満開の時期を過ぎて、「ガク」が

   目立つようになっているからだった。
   それでも、上の方に登っていくにしたがって、「ガク」が目立つ比率は少なくなり、散る寸前の輝きを放ってい
   る桜たちに出合うことができた。